亜鉛とは
亜鉛とは一体どのような成分なのでしょうかその特徴をみていきましょう。
生命維持に欠かせない「必須ミネラル」
亜鉛は、生命維持に欠かせないミ必須ミネラルのひとつ。体内の300種類以上の酵素を構成しており、不足すると次のような症状を招きます。
亜鉛不足になると、こんな症状が…
- 味覚障害
- 鉄欠乏性貧血
- 免疫力の低下
- 皮膚の乾燥
- 創傷治癒遅延
- 脱毛
- 成長障害
- 骨粗鬆症
- 勃起不全
亜鉛は不足しやすい
このように、私たちの体の中で大きな役割を担っている亜鉛。
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」にて、成人の男性(18~69歳)で1日10mg、成人の女性(18~69歳)で1日8mgの亜鉛の摂取を推奨しています。
しかし亜鉛は、精製された穀類や野菜などにあまり含まれていないことや、飲酒やストレスなどでも消費することから“不足しやすい”という性質があります。
とくに、次のような方は不足すい傾向にあるので、亜鉛が多く含まれた食材などを意識的に摂取するように心がけましょう。
- インスタント食品や加工食品ばかりを食べている方
- 菜食主義の方
- ダイエット中の方
- ストレスの多い方
- 飲酒をする方
過剰摂取に注意
亜鉛は不足しやすいという一面がありますが、一方で過剰摂取にも注意したい栄養素。
とくにサプリメントによる大量摂取は要注意!
大量に摂取すると、急性中毒や銅欠乏による貧血を起こす可能性があります。
摂取上限量は、次の通りです。
- 成人男性40㎎(18~29歳、70歳以上)45㎎(30~69歳)
- 成人女子で35㎎(18歳以上)
普通の食事で亜鉛を摂取している分には過剰症を起こすことはありませんが、サプリメントを服用する場合は、摂取量に十分注意しましょう。
亜鉛と薄毛の関係
このような性質を持つ亜鉛は、「薄毛」とどのような関係があるのでしょうか。チェックしてみましょう。
毛髪の主成分たんぱく質を合成
毛髪の70%はケラチンというたんぱく質でできています。亜鉛は、このたんぱく質の合成を行う栄養素。体内のたんぱく質がアミノ酸に分解されたのち、ケラチンに再合成して毛髪を形成する働きがあるのです。
そのため毛髪の主成分であるたんぱく質が十分に体内にあっても、亜鉛が不足していると健康な毛髪が形成されなくなってしまうというわけです。
5αリダクターゼを抑制
また亜鉛には、「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素を抑制する働きもあります。
5αリダクターゼは、男性ホルモンであるテストステロンと結びつき、より強力な男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変化させる物質。このジヒドロテストステロンは、抜け毛や薄毛を招いてしまう原因となります。
男性ホルモンといっても、女性の体内にも存在するもの。分泌量が多ければ、女性でも薄毛の原因となってしまうのです。
そのため、亜鉛をしっかり摂取することは、女性にとっても抜け毛や薄毛の予防になるといえます。
亜鉛を含んだ食材7選
以上のように育毛と深い関わりのある亜鉛は、次のような食材に多く含まれています。
- 牡蠣|亜鉛は、からすみ・ほや・タラバガニをはじめ魚介類に多く含まれています。中でも亜鉛を多く含む王様は、海のミルク「牡蠣」!牡蠣1個分で亜鉛2.6mg、5個で10mgほどになり、1日の摂取量を満たすことができます。他にもカルシウムや鉄、銅などのミネラルをたっぷり含んだ、栄養満点の食材です。旬の時期に、美味しい牡蠣を楽しんでみてはいかがでしょうか。
- 牛肉|肉類では牛肉が亜鉛を多く含んでいます。とくにビーフジャーキーは100gあたり中8.8mgと高配合!ただし、塩分が多いので食べ過ぎには注意しましょう。他にも、牛肉肩ロースは100gあたり4.6mg、牛ひき肉は4.3mgと多く含まれています。一年を通じて食べられるのも魅力といえます。
- 豚レバー|豚レバーも100gあたり6.9mgと亜鉛を多く含んでいる食べ物です。またレバーには、亜鉛同様、毛髪の形成によい効果をもたらす「ビタミンB群」も豊富!亜鉛の吸収をサポートするビタミンCも含んでいるのが、優れたポイントです。
- ナッツ類|アンチエイジング食材として女性に人気の「ナッツ類」にも、亜鉛が含まれています。とくにカシューナッツは100gあたり5.4mg、アーモンドは4.4mgと、ナッツ類の中でも多く亜鉛を含んでいます。ただし脂質が多くカロリーも高いため、食べ過ぎには注意しましょう。
- チーズ|また、チーズも亜鉛を多く含む食材のひとつ。中でもパルメザンチーズは100gあたり7.3mg、チェダーチーズ4.0mgと比較的多くの亜鉛を含んでいます。しかし、パルメザンチーズは料理に少量を振りかけて使用するため、一度に摂取できる量が少ないのがウィークポイント。サラダやラザニアのトッピングなどに、こまめに取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 卵黄|料理に使いやすく、1年中購入できる身近な食材「卵」。卵の亜鉛は、黄みの部分に集中しています。含有量は卵黄100gで4.3mg、卵黄1個分では0.8mgとなっています。
- 海苔|和食に欠かせない「海苔」も、亜鉛を多く含む食材のひとつ。焼きのりや干し海苔には100gあたり3.7mgの亜鉛が含まれています。ただし、一度に摂取できる量が少ないのが残念なポイントです。
亜鉛と一緒に取りたい「ビタミンC」
亜鉛を多く含む食べ物を摂取する際に、合わせて摂りたい栄養素があります。
それは…ビタミンC!
亜鉛は通常吸収率が約30%程度と低めですが、ビタミンCを一緒に摂取することで、吸収率をアップさせることができるのです。
ビタミンCは次のような食べ物に多く含まれています。
ピーマン / アセロラ / ゴーヤ / モロヘイヤ / ブロッコリー / いちご / レモン / キュウイ …etc
ちなみにビタミンCは、2〜3時間で排出されてしまうので、こまめに摂取するのが望ましいビタミン。とくに、ストレスが多い方や、喫煙者は消費しやすいので、多めに摂取したい成分です。
亜鉛を多く含む食材と合わせて摂取して、相乗効果を狙ってみてはいかがでしょうか。
亜鉛だけじゃない!育毛効果のあるミネラル
亜鉛の他にも、育毛効果のあるミネラルがあります。合わせてご紹介していきましょう。
- 鉄分|鉄分は「ヘモグロビン」という赤血球の材料になり、全身の細胞や組織に酸素を届ける働きをするミネラル。不足すると十分な酸素が届けられなくなり、毛母細胞の働きが低下して、薄毛を招いてしまうのです。とくに女性は月経により鉄分不足に陥りがち。貧血やめまい、肩こりなどの症状にも繋がりますので、不足しないように気をつけましょう。
- 銅|銅も毛髪に欠かせないミネラルのひとつ。亜鉛を過剰に摂取すると、拮抗している銅が不足して逆に薄毛を招いてしまう可能性が指摘されています。そのため、亜鉛だけでなく銅も意識的に摂取するとよいでしょう。牡蠣やナッツ類などは亜鉛も銅も含んでいる優秀食材です。
- ヨウ素|ヨウ素は、甲状腺ホルモンをつくるミネラル。代謝を促す働きがあり、つやのある健康的な毛髪の形成に欠かせない成分です。昆布やわかめなどの海藻類に多く含まれています。
バランスのよい食事は薄毛対策の基本
女性の毛髪の形成にも大きな役割を果たすミネラル「亜鉛」や、その他育毛に効果のあるミネラルについて解説してまいりました。他にも、亜鉛の吸収率をアップするビタミンCや、育毛をサポートするビタミンB群、そして毛髪の原料となるたんぱく質など、あらゆる栄養素が髪の形成を担っています。
これらすべてを摂取するためには、やはり栄養バランスのよい食事が欠かせません。健康的な毛髪を手に入れるためにも、栄養バランスのよい食事を心がけていきましょう。
[ 調査・編集 ] KANA